【声明】岸田首相、憲法審査会に「条文案の具体化」を強く促す
■審査会に早期の改正案条文化を求め「声明」発表
日本会議では、11月2日から秋の臨時国会での憲法審査会が開催されるにあたり、早期の改正案条文化を求める声明を出しました。
岸田首相は、所信表明演説やその後の質疑で、条文案作成へ向け国会の一層の努力を強く促しています。
岸田首相が総裁任期の来年9月までに国会発議と国民投票を実施しようとすれば、秋の臨時国会で改正草案の条文化作業に入るため、盛り込むテーマと内容を絞り込んで、一致点を見出す必要があります。
現在、衆議院の憲法審査会では「自衛隊」と「緊急事態条項」について主に論議されていますが、この臨時国会が大変重要な審議の場となります。
日本会議では、憲法の不備を克服するため、この二点について早急に意見集約を図り、条文案作成に入るよう審査会に求めました。
◆憲法審査会に早期の改正案条文化を求める声明
岸田首相は臨時国会の冒頭、憲法改正について「国会の発議に向けた手続を進めるためにも、条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待」すると所信を表明した。額賀衆院議長も就任に当たり、「立法府として考えをまとめていかなければならない」と抱負を語っている。
衆参の憲法審査会では昨年以降、定例開催が常態化し、憲法九条と自衛隊、及び緊急事態における国会の機能維持について与野党間で活発な議論が展開されてきた。一部野党の拒否戦術のため、開催すらできなかった異常事態が漸く解消し、本来の姿に戻ったことになるが、内外の情勢を見れば、憲法審査会にはなお一層の議論の加速と、条文化へ向けた合意形成への積極的な取り組みが求められる。
昨年、ロシアがウクライナに全面侵攻し、今なお戦闘が続いているが、力による一方的な現状変更を追認することになれば、中国や北朝鮮が、ロシア同様に無謀な軍事行動に走る危険性は一気に高まる。
戦後最も深刻とされる現在の我が国周辺環境は、憲法制定時には想定もされなかったものであり、憲法を改正して「自衛隊の保持」を憲法に明記し、「自分の国は自分で守る」との国家の姿勢を内外に宣明にすることには大きな意義がある。
更に本年は関東大震災から100年にあたり、首都直下地震や南海トラフ地震など、巨大自然災害の発生の確率が高まっている。それ故もはや「想定外」などと弁解して国民の生命と国民生活を危険にさらす愚は許されない。
過去3年間の新型コロナ感染症により、我が国は7万人を超す人命を失い、国民の健康と日本経済に深刻な痛手を与えた。105年前にはスペイン風邪の大流行によって約39万人が死亡しており、今後、未知のウイルスが発生して猛威を振るった時も、果たして現行法制で日本社会は危機を乗り切れるのか。
我が国の災害法制は、過去の教訓を踏まえて後追い的に改正されてきた。そのため、法律を超えた想定外の事態には対処しきれない。国家の使命は国民の生命と生活を守ることであり、緊急事態条項を持たない現行憲法の欠陥は、真っ先に克服されなければならない。国会は「議員任期の延長」論議に留まることなく「緊急政令」や「緊急財政支出」など、緊急事態における内閣の権限についても早急に合意を図り、憲法の不備を埋めるべきだ。
以上の点から、憲法審査会は「9条と自衛隊」、および「緊急事態条項」の2点について議論を加速して速やかに改正原案を作成し、憲法改正の国会発議によって、憲政史上初の国民投票へと歩みを進めるべき時である。
衆参両院の国会議員におかれては、自らに課せられた歴史的使命を自覚し、合意形成に向け一段と尽力されることを、強く要望する。
令和5年11月2日 日本会議