[新教育基本法] 日本の教育が大きく変わります

[新教育基本法] 日本の教育が大きく変わります

[新教育基本法] 日本の教育が大きく変わります

教育

~新教育基本法の制定から学習指導要領、教科書検定制度まで、我が国の教育改革が大きく進んでいます

 
1、新教育基本法の制定

平成18年12月、国民待望の中59年ぶりに教育基本法が全面改正されました。私共は、全国各地における大会や街頭キャンペーンの推進、365万人の国会請願署名や37都道県420市区町村での地方議会決議などを促進し、その実現を図ってまいりました。改正された教育基本法には、道徳心、公共心、愛国心など日本人の心を育む教育目標が掲げられ、これにより混乱を続けてきた戦後教育を改革する大きな手掛かりが作られました。新教育基本法の主な特色をご紹介しましょう。

 ●新教育基本法の主な特色

 

主な項目

新教育基本法の特色

目標達成型教育 目標達成型教育が明確に打ち出されました。すなわち、教育目標(第2条)に掲げられた徳目が達成すべき目標と義務づけられ、文部科学省、教育委員会、学校は目標の達成に向けた責任を負うこととなりました。

愛国心、道徳心の育成が新たな教育目標に明記 教育の目標に「豊かな情操や道徳心」「公共の精神」「伝統と文化の尊重」「愛国心」などの育成が掲げられました。

  旧基本法の「人格の完成」を期すという抽象的な目標から、新基本法には、

日本国民を育成するための大切な徳目が教育目標として明記されました。

【新教育基本法第2条(教育の目標)】 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

義務教育の目的 義務教育の目的を、国民としての必要な基本的な資質を養うことであることを明記しました。

【新教育基本法第5条2】 義務教育として行われる普通教育は、…国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

体系的・組織的な学校運営 従来は教職員組合の圧力、影響下で行われてきた学校運営は、今後は法律に基づき学校を挙げての組織的な運営を行わなければならないことが明記されました。

教師の使命と職責

学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し絶えず研究と修養に励み、自らの教員としての職責を果たさねばならないことが明記されました。

家庭教育の重視 親が子の教育に第一義的責任を有し、「生活習慣」「自立心」「心身の調和」を図る規定が新たに設けられ、国及び地方公共団体が家庭教育支援を行うことが明記されました。

宗教教育の重視 宗教に関する教養を尊重することが明記され、従来は敬遠されがちだった宗教教育の重要性が示されました。各教科・道徳・特別活動を通じて神社・仏閣見学も可能とされ、神道や仏教について理解し身につける「教養」教育もできる方向へと規定された。

 

教育水準の維持 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し実施しなければならないことが明記されました。 

行政責任の明確化 法律に基づく教育行政は「不当な支配」ではないことが明文化され、文科省や教育委員会への教職員団体の圧力が「不当な支配」に当たると明確に規定されました。これにより「不当な支配」を巡る文部科学省と日教組の教育権論争は、法律上決着がつき、今後は日教組の現場介入や学校支配が排除されることとなりました。

10

教育振興基本計画の策定 国は、教育振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「教育振興基本計画」を策定することが義務づけられ、地方公共団体もそれに基づく基本計画策定に努めなければならないことが明記されました。


 

 

 

2、教育三法の改正
 

 

新教育基本法の制定を受け、平成19年6月の通常国会で教育改革関連法が相次ぎ改正されました。

教育関連法

改正の主な内容

学校教育法 義務教育の目標を定め、新教育基本法に定められた教育目標とその内容の充実をめざします。①義務教育の目標が改正され、規範意識や公共の精神、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛する態度を養うなどの教育理念を具体化する。②校長の監督権を明記して副校長、主幹教諭などの職を新設する。また学校評価の義務化や保護者や地域住民への情報提供が明記された。
地方教育行政法 教育における国、教育委員会、学校の責任を明確にします。①教育における国、教育委員会、学校の責任を明確にし、特に教育委員会の体制を充実するため、教育委員の研修を進める。②教育委員会が法令違反や怠り、不適切な対応をとった場合は文部科学大臣が是正の指示・要求を行えることを明記し、国が最終的な教育の責任を果たすように規定された。
教育職員免許法など 教員免許更新制度の導入と処分・人事管理を厳格に行い、ダメ教師の排除、教師への信頼醸成、資質の向上をめざします。

 

3、学習指導要領の改正

新教育基本法の教育目標に基づき、小中高の学習指導要領も大きく改善されました。改正に当って実施された文部科学省の改正案に多くの国民からパブリックコメントが寄せられ、新教育基本法が明記している愛国心や道徳心の育成が全教科にわたり規定されるなど、大きく改善されました。

●小・中学校(義務教育)学習指導要領の主な改善内容

 

主な項目

新しい学習指導要領の内容

目標達成型の教育 「総則」に「…適切な教育課程を編成し、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする」が明記され、教育基本法、学校教育法に基づく学習指導要領の内容を、児童生徒は必ず身につけなければならないことが示されました。
愛国心教育 「総則」に「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し」を新たに明記し、学校教育のすべての教科において愛国心の養成を図ることが明確にされました。
国旗国歌指導 小学校音楽で「国歌『君が代』は、いずれの学年においても、歌えるよう指導すること」と明記され、教師は、卒業式や入学式など必要な時は、児童・生徒が国歌を歌えるよう指導する義務があることが明確にされました。
国民の祝日教育 小学校社会で「政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には、各々の国民の祝日に関心をもち、その意義を考えさせるよう配慮すること。」と全ての祝日の意義を教えるよう明記され、憲法記念日だけでなく、建国記念日や天皇誕生日も取り上げることになりました。
伝統・文化の尊重 小学校社会では「先人が守り伝えてきた国宝や重要文化財、世界遺産などを訪れることで、我が国の伝統や文化を大切にする心情を育むこと」が強調される等、伝統文化の教育の充実が図られました。
天皇への理解と敬愛の念 小学校社会には、「日本国憲法に定める天皇の国事に関する行為など児童に理解しやすい具体的な事項を取り上げ、歴史に関する学習との関連も図りながら天皇についての理解と敬愛の念を深める」とあり、その解説書には植樹祭や国民体育大会へのご出席、被災地の訪問などのご公務が例示されました。
領土領海の学習 中学校社会では、我が国が正当に主張している立場に基づいて、当面する領土問題や経済水域の問題などに着目させ、北方領土や竹島問題など我が国の領土・領域について理解を深めさせることが必要であると解説書に示されました。
防衛の意義と自衛隊の役割 中学校社会では、我が国の安全と防衛及び国際貢献が明記され、自衛隊が果たしている防衛の意義と国際貢献が、学校教育で教えられることになりました。
道徳教育の充実 小中学校における道徳教育は、道徳の時間はもとより各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動など学校の教育活動全体を通じて行うものであるとの原則のもと、新たに小中学校における道徳教育活動を推進する「道徳教育推進教師」の設置が明記されました。具体的には、中学道徳で「先人の伝記、自然、伝統と文化、スポーツなどを題材とし、生徒が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用を通して、生徒の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。」などが加えられました。
10 日本神話の学習 小学校国語で「昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり発表し合ったりすること」が戦後初めて明記され、日本神話が国語の教材となり、読み聞かせができるようになりました。
11 宗教教育の充実 中学社会では、教基法第15条を受け「宗教に関する教育については,宗教に関する寛容の態度,宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位を尊重して行う必要がある」と規定され、宗教に関する一般的教養」教育を充実させる旨が明確にされました。

 
 ●高等学校学習指導要領の主な改善内容

高校は小中学校指導要領に準拠していますが、主に高校独自の項目を取り上げてみました。

 

主な項目

新しい学習指導要領の内容

目標達成型の教育 「総則」に「これらに掲げる目標を達成するよう 教育を行なうものとする」と明記されました。
愛国心教育 「総則」に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し」が明記され、地理歴史の教科目標に「国家・社会を形成する日本国民として必要な自覚と資質を養う」が明記されました。
天皇の地位と役割 天皇について「天皇の地位と役割、議会制民主主義と権力分立など」(現代社会)、「国民主権、天皇の地位と役割」(政治経済)と初めて明記されました。

宗教に関する教養教

育の充実

「風習・信仰などの生活文化」(日本史A)、「時代、民族、風土、宗教など」(芸術)と宗教教育を充実。教育基本法に基づき「宗教に関する教育を行なう」(地歴・公民)と明記されました。
道徳教育の充実 「全教師が協力して道徳教育を展開するため、…その全体計画を作成すること」(総則)を明記。「畏敬の念」を重視する旨、倫理の科目目標に明記。「連帯感を深め」「公共の精神を養い」などが「特別活動」に明記。
伝統と文化の教育の充実 武道教育について心身の鍛錬の重要性やスポーツと武道の相違などの観点から、「相手を尊重し、礼法などの伝統的な行動の仕方を大切にしようとすること」「我が国から世界に普及し、発展しているスポーツがあること」などが明記されました(以上「体育」)。
男女の特性尊重と規律ある生活習慣の醸成 「責任感を涵養することや異性を尊重する態度が必要であること、及び性に関する情報等への適切な対処」(「保健」)、「心身の健康と健全な生活態度や規律ある習慣の確立」「生命の尊重と安全な生活態度や規律ある習慣の確立」(以上「特別活動」)などが明記されました。

4、教科書検定制度の改正

新教育基本法の制定を受けて、教科書検定制度も大幅に見直されました。今回は、教育基本法の教育目標に一致する教科書の作成にむけて検定基準が抜本的に見直され、平成21年3月、新検定制度が告示されました。

 ●新教科書検定制度の特色

教育目標との一致 教科書内容は、新教育基本法が定める教育の目的・目標と一致しなければならないことが規定されました。そのため、検定申請時に教育基本法の目的・目標との対照を示す編修趣意書の提出が義務付けられました。

新たな教科書作成の基準 我が国の立場・国益の尊重、日本人の育成などを目的とした教科書作成の基準が新たに設けられました。教科書は「知徳体の調和の取れた人間」「国家社会の形成に主体的に参画する国民」「我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人」といった目標を達成するための教材であることが、今回の検定基準に新しく明記されました。

学習指導要領との対照表の提出義務化 全ての教科書は、新学習指導要領の示す教育方針や内容との一致も新たに規定されました。そのため学習指導要領との対照表の提出が義務付けられました。従来の検定基準では、学習指導要領の「目標に従い」、指導要領に示す内容を「不足なく取り上げている」ことは規定されていたものの、教育の理念を示した「総則」との一致や、「各教科の目標」との一致は盛り込まれていませんでした。

教科書編集者の責任明記 教科書編集の責任を明確化するため、著作者・監修者の担当部分の明記に努めることになりました。これにより、執筆者や編集者は責任ある作業を遂行し、同時に保護者や国民は執筆編集の責任の所在を知ることができ、その改善を求めることが容易となり、よりよい教科書の実現がはかられます。

特定の政治団体の排除 特定の政治団体等の主張や宣伝となる資料を教科書から排除することが可能となりました。これからは、図書の内容に,特定の個人、団体などについて、その活動に対する政治的又は宗教的な援助や助長となるおそれのあるところはなく、また、その権利や利益を侵害するおそれのあるところはないことが、新たに規定されました。

一面的な政治的見解の排除 夫婦別姓や外国人参政権など未確定の法案や訴訟などを、一方のみの立場に立って記述した内容は排除されることになりました。すなわち、教科書に扱う内容が、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないことが、新たに基準に加えられました。

写真・資料等の信頼性と公正性の確保 教科書に紹介される写真、資料、挿絵などが、恣意的に引用されることのないよう、検定が厳格にされるようになりました。引用される写真・資料・著作物が信頼性のある適切なものであることに加え、「扱いが公正である」ことが新たに規定されました。これにより、例えば「強制連行」とされる戦争中の写真、「南京大虐殺」の虐殺者数、風刺画、戦争画などについては検定の際、厳格な検定意見が付され排除されることになります。

(日本会議事務総局作成)

※以上の分りやすい解説パンフレット「日本の教育が大きく変わります」(A4判8頁)を発行しています。ご希望の方は日本会議事務局(03-3476-5611)までご用命下さい。

トピックス : 教育基本法

このページの先頭へ

Copyright © Japan Conference. All rights Reserved.