[新教育基本法]活発化する保守系二社に対する採択妨害活動
新教育基本法下の教育改革 18
中学校教科書を点検する 番外編「活発化する保守系二社に対する採択妨害活動」
外圧を利用しての採択妨害活動こそ、教育基本法に違反する!
教科書採択の基準は、「学習指導要領を最もよく反映しているか否か」の一点であり、「不当な支配に服することなく」(教育基本法第十六条)公正に行われなければならない。
村主真人 民間教育臨調研究委員
今年の中学校の教科書採択は、保守系の育鵬社と自由社の二社が参入することから、検定結果公表後は運動団体による採択妨害活動が一層活発となっている。
■韓国が「内政干渉」の国会決議
韓国国会は三月十日、「日本の独島領有権の主張の撤回及び近隣諸国条項を遵守する教科書検定を求める決議」を可決。文科省の検定結果公表に先んじ「近隣諸国条項」の遵守を求めた。さらに同国会は「日本の独島領有権を歪曲した中学校教科書の検定承認取消しを求める決議」を四月五日に可決、韓国が竹島を不法占拠していると書いた教科書が検定合格したことを受け、「強く抗議し、日本側の度重なる独島領有権主張が、韓日両国間の信頼関係に致命的な打撃となる」と位置づけ、検定結果の取り消しを求めた。この決議は内政干渉と言える内容だ。日本のメディアは、検定結果を取り扱って以降、教科書問題を報道しなくなったが、韓国側は新聞各紙が日本の不採択運動の取り組みを紹介している。
更に日本の文部科学省にあたる科学技術部は、六月中旬以降、ソウルの戦争記念館で、今回検定合格した日本の教科書展示会を開催した。韓国当局は「国民の心に深く刻み込ませるため」としている。
■保守系二社へのネガティブキャンペーン
日本国内では、自由社の教科書が採択されている横浜市を重要拠点として、弁護士会、大韓民国民団、日本共産党、子どもと教科書ネット21などが、盛んに保守系二社不採択へ向けネガティブキャンペーンを実施している。六月五日に開催された民団の決起集会では、保守系二社に「戦争を美化」「アジアを蔑視」とのレッテル張りがなされ、「公教育の場に登場することを絶対に許さず、断固阻止する」との決議が採択された。
不採択運動の中心団体といえるのが、子どもと教科書ネット21だ。事務局長の俵義文氏は六月九日、韓国政府の対日歴史認識対応のための機関「北東歴史アジア財団」が開催したシンポジウムに登壇し次のような発言を行っている。
「地方議会で、日本会議地方議員連盟所属の議員は、別途に文案を作成し、組織的に地方自治体首長や教育委員会委員長に圧力をかけている」(「東亜日報」六月十日)六月十六日の読売新聞には、百四十二市民団体や文化人・活動家の連名で「選んでいいの?戦争賛美の教科書」と題する意見広告が掲載された。
日本の活動家や団体が、韓国の政府機関や報道機関と連携して韓国内の世論を醸成し、それを日本への外圧に変換することで、教科書採択に影響を与えようという計算だろう。
■教科書採択の本義
教育基本法第十六条は、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」と定める。
教科書検定は国の責務であり、教科書採択は地方公共団体の責務だ。
市民運動団体による採択妨害活動は特定教科書を名指しして、事実に基づかない中傷を行い、国民と採択権を有する教育委員会に保守系二社への悪印象を植え付けようとするもので、法に基づく公正かつ適正な教科書採択という行政行為を著しく損なうものであり、これこそが教育行政に対する「不当な支配」を試みる動きだ。教科書採択の本義は、教育基本法と地方教育行政法を根幹として、学習指導要領を最もよく反映しているか否かを基準に選ぶことにある。
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