[ブラジルからの提言]極東ロシアは日本の味方か
ロシアは2度日本に滅ぼされそうになった。歴史から見る限り、大国ロシアが極東の小国日本に負けるはずがない。110年前のロシアは、大国であったし、ロマノフ王朝の時代で、強力なコザック騎兵を有す世界最強の陸軍と世界一の規模を誇る大艦隊を保有していた。明治の元勲たちはその国に挑み、勝利を得た。20世紀最大の奇跡を起こしたのは、鎖国から目覚めてわずか37年目の日本であった。世界は東洋の奇跡とは受け取らず、白人人種優先と殖民地主義を抑える世界の奇跡であるとした。
ソビエット共産主義国が潰えたのは、日本の資本主義による効率の良さに
太刀打ちできなかったことが最大の原因という。国民が計画経済という恐ろしく不経済的な私有財産を認めない、働くも働かざるも同じという共産的考えが、自滅を起こしたに過ぎないが、その対極にあった日本があまりにも目覚しい発展を遂げ、世界第二の経済大国になったこと自体が、ソ連邦崩壊を助長したのは間違いないことではある。
今のロシアは、共産主義から離れて現体制となって25年しか経っていない若い国である。国土は広い。大国であると感じる。が大部分は人も住めない極寒の地である。ブラジルには大アマゾンがあり、やはり国土が広いから大国だと思われやすい。極寒のツンドラよりは、極暑のアマゾンは人が住み易い。しかし極寒も極暑も文化を育てえず、人間には住みにくい。10年位前までは、ブラジルもロシアも日本の10分の1位のGDPしかなかった。このところ両国ともに発展目覚しいが、日本には当分追いつけない。
外務・防衛閣僚の(2プラス2)協議が東京で開かれた。新しい日ロ関係が始まった。が、しかし68年前に無法な占領を行い、いまだに北方4島の返還を渋る国に対して、胸襟を開くべきではない。あらゆる申し出に対して真摯に対応するのは、歴史と文化大国日本の美しい姿ではある。支那、朝鮮にたいしても、馬鹿が付く位丁寧かつ紳士的であり続けて良いと思う。支那包囲網を形成する上においてもロシアとの付き合いは有効であろう。が、火事場泥棒よろしく盗んだ領土を持ち主に返さぬ限り、善隣外交の基盤が整ったとは言えない。歴史より見て、日本はより毅然として、隣国との付き合いを
進めねばならないと思う。ブラジルは日本から見ると一番遠い国ではある。
が、敵対関係になったことはないし、親和の国である。そういう国との付き合いを重視するべきであろう。
和をもってよき仲間を創り、親(しん)を持って外交を推進すべきと信じる。
(ブラジル日本会議 理事長 小森広 25/11/15)
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