[ブラジルからの提言]消費税について
消費税8%への変更が2014年4月より実施と決った。
17年ぶりの変更であって、慎重に且つ細密に準備が行われた上での首相の決断である。腰折れを起こさぬように万全の減税と景気刺激策まで準備されていても、アベノミックス全体の失敗を恐れる人も多いと聞く。
日本における増税は、政権の命取りになることがある。税とはお上が一旦決めたら、下々は必ず納めるという社会通念がしっかりと根付いているからだと思う。ブラジルでは時の大統領が、税収不足を感じたときに、新税を考え付いたり、消費税の税率を大きいほうへと引っ張る。ルーラ前大統領は、8年間の統治期間に国民総生産額に対する総税収額の割合を32%から38%まで毎年少しづつ引き上げ、大赤字国家を債権国家に変える実績を残した。経済が安定した今でもインフレ指数は生きており、10種類以上のインフレ指数でももってあらゆる分野の物価調整が行われている。
ここ数年4%から6%位のインフレがあるが、それにつれて利息も調整されるから誰も文句はいわない。物価も上がるが、給料もあがる。これが刺激となって世の景気は上を向いて動いてゆく。日本のサラリーマンは、月給が15年も上がらず、固定された形となっても旺盛な労働意欲も持ち続けるのは不思議である。国家にとっても、国民総生産が前年対比殆ど変わらず、中進諸国の延びが大きく伸びると、ひとり日本のみ取り残され、中国が如きに追い抜かれるハメになる。
最高の景気刺激はインフレ目標を少し上げ、高齢者が持つ1500兆円ともいわれる預貯金に2%位の利息をつけることだ。これだけでも実質30兆円のお金が国民に廻る。高齢者が十分世話を受けられる高級リゾート福祉村の建設をすすめ、新しく建築された邸宅には遺産相続税をかけない。このような景気浮揚策を打ち出し、国民のお金を眠らせず、有効に使うと同時に実質的な国民生活の向上を図ることが、日本を高揚させ、世界の経済の牽引き車となるのではないだろうか。
来年4月に消費税は8%になるが、あと2%は既に法律によってあげることが決定されている。現在ブラジルの消費税は18%であるが、これはいかにも高い。会計士と弁護士がいかに節税するかを一生の仕事に費やすようでは、国の発展を阻害する。が世界一の福祉国家を維持するには、15%までの引き上げは止むを得ないのではないか。今よりそれを準備しておき、インフレそのものを、上手に使い、景気の腰折れを防ぎつつ、国家財政の健全化を達成出来たとき、日本は一段と神の望む国に近づくのではないだろうか。
ブラジル日本会議 理事長 小森 広(25/10/15)
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